「読書会って、ちょっと気になる。でも、本好きの人ばかりが集まって、むずかしい話をしているんじゃないか」
そんなイメージがあって、なかなか一歩が出ない人は多いと思います。読むのが遅い、感想をうまく言葉にできない、最近はあまり本を読めていない。気後れする理由は、人それぞれですよね。
でも実際の読書会は、思っているよりずっとゆるやかな場です。本の感想に正解はありませんし、読書量を比べる場所でもありません。「この本のここが好き」をほかの人と分け合うだけで、ひとりで読んでいたときとは違う楽しさが見えてきます。
ここでは、読書会に初めて参加しようか迷っている人に向けて、会の種類と選び方、参加前の準備、本を紹介するときの組み立て方、話すときのちょっとした気づかいを、順番にお話しします。
読書会ってどんな集まり?
読書会は、本をきっかけにして参加者同士が話す集まりです。カフェの一角や公民館の会議室、レンタルスペースなどで開かれることが多く、人数は数人から十数人くらいまでさまざまです。
ひとくちに読書会といっても、進め方は会によってかなり違います。ここを知らずに申し込むと、「みんな同じ本を読んできていて、自分だけ読んでいなかった」というすれ違いが起きることもあります。まずは、どんな形があるのかを知っておくと安心です。
「最近あまり読めていない」人も、実はたくさんいる
読書会に行くのは、毎月何冊も読む人だけ、と思っていませんか。
文化庁が2024年に発表した令和5年度「国語に関する世論調査」では、1か月に本(雑誌・漫画は除き、電子書籍はふくむ)を「読まない」と答えた人が62.6%でした。「1、2冊」が27.6%なので、月に3冊以上読む人は1割ほどです。読書量が以前より減っていると答えた人は69.1%で、その理由は「スマートフォンなどの情報機器で時間が取られる」が43.6%、「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」が38.9%でした。
忙しくて本から離れてしまうのは、ごくふつうのことなんです。読書会には、「また本を読む習慣を取り戻したくて」という理由で来る人もいます。久しぶりの一冊を持っていくのも、立派な参加理由です。
読書会の種類と、初めての人に向いている形
課題本型:みんなで同じ本を読んでくる
主催者が決めた一冊を、参加者全員が事前に読んできて感想を話し合う形です。同じ本を読んでいるので、「あの場面、どう思いました?」と話が深まりやすいのがいいところです。
同じ一冊でも、心に残る場面は人によってびっくりするほど違います。自分が読み飛ばしていた一行に、ほかの人が強く惹かれていたりする。この「読み方の違い」に出会えるのが、課題本型のいちばんの面白さです。
そのかわり、事前に一冊読み切る必要があります。課題本が厚い本だったり、開催日までの期間が短かったりすると、ちょっとプレッシャーになるかもしれません。
紹介型:それぞれが好きな本を持ってくる
参加者が自分のおすすめの本を持ち寄って、順番に紹介していく形です。「持ち寄り型」と呼ばれることもあります。
紹介型は、事前にほかの人の本を読んでおく必要がありません。自分が話す本さえ決めておけば参加できるので、初めての人にはいちばん入りやすい形だと思います。小説、エッセイ、マンガ、図鑑など、持ってきていい本の範囲は会によって違うので、募集文を見ておいてください。
知らない本との出会いが多いのもうれしいところです。自分では絶対に手に取らなかったジャンルの本が、帰るころには「読んでみたい本リスト」に入っていたりします。
その場で読む型:会場で静かに読んでから話す
集まってから、前半の時間はそれぞれが好きな本を黙って読み、後半に少しだけ感想を話す、という形の会もあります。家ではなかなか本を開けない人や、話すことに自信がない人でも参加しやすいスタイルです。
ビブリオバトル:本の紹介をゲームにした会
読書会の仲間として、「ビブリオバトル」という集まりもあります。2007年に京都大学で考案された書評ゲームで、公式ルールでは、発表する人が一人5分で本を紹介し、そのあと参加者全員で2〜3分ほど話し合います。最後に「どの本がいちばん読みたくなったか」で全員が一人1票ずつ投票し、いちばん票を集めた本が「チャンプ本」になります。
ちょっと面白いのは、話し合いの時間に揚げ足をとったり、批判的な問いかけをしたりしてはいけない、と公式ルールに書かれていることです。みんなが楽しめる場になるよう気を配ることも、ルールに含まれています。
5分ちょうど話す必要があるので、最初の一回は、発表せずに見るだけの「観戦」で参加してみるのもいいと思います。
初めてなら、紹介型かその場で読む型から
迷ったら、まずは紹介型か、その場で読む型の会を選ぶのがおすすめです。事前に読む本が決められていないので、準備の負担が少なくてすみます。
課題本型は、何回か読書会の雰囲気に慣れてから、「この本ならちょうど読んでみたかった」と思える課題本の回を選んで参加すると楽しめます。
自分に合う読書会の選び方
「読了必須」かどうかを確かめる
課題本型の会では、「全部読んでから参加してください」という会と、「途中まででもOK」という会があります。読むペースに自信がない人は、途中まででいい会を選ぶと気がラクです。
また、課題本型では結末まで話すのが前提になっていることが多いです。まだ読み終わっていない本の会に参加すると、ネタバレを聞くことになるかもしれない、ということも頭に置いておいてください。
本のジャンルと、会のテーマを見る
「ミステリー限定」「エッセイの会」「ビジネス書の会」のように、ジャンルを決めている会もあれば、何でもありの会もあります。
ジャンルが決まっている会は、好みの近い人が集まりやすいぶん、話も盛り上がりやすいです。何でもありの会は、思いがけない本に出会える楽しさがあります。どちらも魅力があるので、そのときの気分で選んでみてください。
人数と、一人あたりの持ち時間
読書会では、一人がどのくらい話せるかが、満足度を大きく左右します。参加者が多い会は、いろいろな本に出会えるかわりに、一人の持ち時間が短くなりがちです。じっくり話したいなら少人数の会、たくさんの本を知りたいなら人数が多めの会、という選び方もあります。
募集文に「一人◯分くらいで紹介」と書いてあれば、当日の流れが想像しやすくなります。
サークルとして続いている読書会を選ぶときの見方は、社会人サークルの選び方の記事にまとめています。
読書会に参加する前の準備
紹介する本は「人にすすめたくなる一冊」でいい
紹介型の会に出るなら、話す本を一冊決めておきます。ここで「みんなが知っているような名作を選ばなきゃ」と考えなくて大丈夫です。
おすすめなのは、名作かどうかより、自分の気持ちが動いた本です。読みながら思わず笑った、途中で手が止まった、読み終わってだれかに話したくなった。そういう本のほうが、言葉に熱がこもって、聞いている人にも伝わりやすくなります。
最近読んだ本がなければ、昔くり返し読んだ本でもかまいません。「学生のころ何度も読んで、最近また読み返したんです」というのは、それだけでいい紹介の入り口になります。
付箋を一枚はっておく
紹介したい場面や、心に残った一文があれば、そのページに付箋をはっておくと、当日あわてずにすみます。話している途中で「ここなんですけど」とページを開けると、ぐっと伝わりやすくなります。
ちなみに、紹介したいページをコピーして参加者に配るのは、やめておくのが無難です。著作権法で、権利者の許可なく本をコピーしてよいとされているのは、個人や家庭内など、ごく限られた範囲で使う場合(私的使用)が中心です。読書会で配るのは、その範囲からはみ出してしまうことがあります。本を見せたいときは、実物を回すくらいにしておくと安心です。
課題本型なら、本を早めに手に入れておく
課題本型の会では、図書館で借りようとしたら予約待ちだった、ということがよくあります。参加を決めたら、早めに本を手に入れておくと、読む時間に余裕ができます。
課題本に、夏目漱石や太宰治のような古い作品が選ばれることもあります。著作権の保護期間が終わった作品の多くは、ボランティアが運営する電子図書館「青空文庫」で、無料で読むことができます。スマホで読めるので、課題本が青空文庫にあるかどうか、一度探してみてください。
本の紹介で困らない、話の組み立て方
いざ自分の番が来ると、頭が真っ白になりそう。そんな人は、次の三つの順番で話すと決めておくと、ずいぶんラクになります。
一つめは、どんな本かをひとことで。「会社を辞めた主人公が、田舎で古い喫茶店を継ぐ話です」くらいの短さで十分です。あらすじを細かく話そうとすると、それだけで時間がなくなってしまいます。
二つめは、自分がどこに惹かれたか。ここがいちばん大事なところです。「主人公がお客さんに言った、このひとことに救われた気がした」のように、心が動いた場面をひとつだけ選んで話してみてください。うまく分析しなくていいので、自分の気持ちをそのまま言葉にするほうが、聞く人の心に残ります。
三つめは、どんな人に読んでほしいか。「仕事で少し疲れている人に読んでほしいです」と最後に添えると、聞いている人が「それ、私かも」と思うきっかけになります。
この三つを話せば、だいたい3〜5分くらいになります。メモを見ながら話してもまったく問題ないので、スマホのメモに三行だけ書いておくのもおすすめです。
読書会で話すときの、ちょっとした気づかい
感想を「正しい・間違い」で受け止めない
読書会でいちばん大切なのは、ほかの人の読み方を否定しないことです。同じ場面を読んでも、感動する人もいれば、もやもやする人もいる。それが読書会の面白さです。
自分と違う感想が出てきたときは、「そういう読み方もあるんですね」と受け止めてから、「私はこう感じました」と自分の感想を話すと、話がやわらかく続きます。
ネタバレは、ひとこと断ってから
紹介型の会では、聞いている人の多くがその本をまだ読んでいません。結末や大きなどんでん返しは、話す前に「ここから少しネタバレになりますが、大丈夫ですか」と確認するか、話さずに「最後にびっくりする展開があります」くらいにとどめておくと親切です。
ミステリーのように、結末を知ると楽しみが半分になってしまう本は、とくに気をつけておきたいところです。
質問は「もっと知りたい」の気持ちで
ほかの人の紹介を聞いて気になったことがあれば、ぜひ質問してみてください。「この本を読んだきっかけは何ですか」「同じ作者で、ほかにおすすめはありますか」。そんな質問は、話した人にとってもうれしいものです。
反対に、「でもそれって、こういう意味じゃないですか」と相手の読み方を正そうとする質問は、場の空気を固くしてしまいます。ビブリオバトルのルールにあったように、質問は「その本をもっと読みたくなるため」にするもの、と思っておくといいかもしれません。
話す時間は、みんなで分け合う
好きな本の話になると、つい熱が入って長くなってしまうことがあります。熱意が伝わるのはすてきなことですが、ほかの人の話す時間も残しておきたいところです。持ち時間が決まっている会では、時間が来たら「まだ話し足りないので、あとでぜひ」と区切ると、休けい中の会話のきっかけにもなります。
読書会がきっかけで、本好きの友達はできる?
読書会は、相手の人となりが自然と見えてくる場所です。どんな本を選んで、どの場面に心を動かされたのか。それを聞いていると、何度か会っただけでも、その人の大事にしているものが少し伝わってきます。
仲良くなるきっかけとしておすすめなのは、相手がすすめていた本を実際に読んでみることです。次に会ったとき、「この前紹介してくれた本、読みました」と伝えると、相手はとてもうれしいはずです。そこから、好きな作家の話や、次に読む本の話へと、自然に会話が広がっていきます。
本の貸し借りは、仲良くなってからでも遅くありません。大切な本ほど、返ってくるまで気になってしまうものです。最初のうちは、本の名前を教え合うくらいの距離感が、お互いにとって気楽だと思います。
趣味友達と長く付き合うための考え方は、趣味友達の見つけ方の記事で紹介しています。
読書会に参加するときに気をつけたいこと
ほとんどの読書会は、本が好きな人たちがまっとうに開いている集まりです。ただ、まれに、本の話を入り口にして別の目的の話につなげようとする会や参加者がまぎれていることもあります。
読書会ならではの目安としては、毎回同じ著者の本ばかりが課題になる、感想よりも「この教えを実践しよう」という話が中心になる、会のあとに別のセミナーや集まりへ強く誘われる、といったことがあれば、少し距離を置いて様子を見てください。勧誘の見分け方は、社会人の友達の作り方の記事にまとめています。
もうひとつ、読書会では、本をきっかけに自分の経験や悩みを話したくなることがあります。それ自体は読書会のよさでもありますが、初めて会う人たちの前では、勤め先や住んでいる場所など、くわしい個人の話はほどほどにしておくと安心です。
トモサーでイベントやサークルに参加していて困ったことがあったときは、通報機能で運営に知らせることができます。
読書会でよくある疑問
課題本を最後まで読めなかったら?
まずは、その会が「途中まででもOK」かどうかを確かめてみてください。途中まででいい会なら、「半分くらいまでしか読めなかったんですが」と最初に言っておけば大丈夫です。途中までの感想も、立派な感想です。
読了が前提の会で読み切れなかったときは、主催者に事前に相談しておくと、聞く側での参加を認めてもらえることもあります。
読むのが遅くても、ついていける?
読書会は、読むスピードを競う場ではありません。紹介型の会なら、前に読んだ本を持っていけばいいので、読むペースはほとんど関係ありません。課題本型の場合は、開催日までの期間が長めの会や、短い本を課題にしている会を選ぶと、無理なく参加できます。
うまく感想を話せる自信がない
「面白かったです」しか出てこない、と心配な人もいると思います。そんなときは、さきほどの三つの順番の、二つめだけでも話してみてください。「この場面が好きでした」とひとつ言えれば、あとはまわりの人が質問で話を広げてくれることが多いです。
マンガや絵本を持っていってもいい?
会によります。「何でもOK」の会もあれば、「小説のみ」の会もあるので、募集文を確かめるか、主催者に聞いてみてください。マンガや絵本は、実物を見せながら話せるので、意外と盛り上がりやすいジャンルです。
近くに読書会がないときは?
読書会は、オンラインで開かれているものも少なくありません。家から参加するときの準備は、オンラインで趣味友達を作る方法の記事が参考になると思います。気の合う本好きが何人か集まったら、自分たちで小さな会を開いてみるのもひとつの手です。始め方は社会人サークルの作り方の記事で紹介しています。
まとめ
読書会は、たくさん本を読んでいる人だけの場所ではありません。最近あまり読めていない人も、感想をうまく話せる自信がない人も、それぞれのペースで楽しめる集まりです。
初めてなら、事前に読む本が決まっていない紹介型や、その場で読む型の会から試すのがおすすめです。紹介する本は、名作かどうかより、自分の心が動いた一冊を選ぶ。話すときは「どんな本か」「どこに惹かれたか」「どんな人に読んでほしいか」の三つを意識して、ほかの人の読み方は否定せずに受け止める。それだけで、きっと楽しい時間になります。
トモサーでは、読書会のイベントやサークルも探せます。エリアから探すページで近くの集まりを見たり、イベント一覧やサークル一覧から、紹介型や課題本型など自分に合いそうな会を選んだりできます。気になった会はブックマークしておけますし、参加した人のレビューで雰囲気を確かめることもできます。基本の機能は無料で使えるので、くわしくはよくある質問も見てみてください。よかったら、のぞいてみてくださいね。




